Glineのプラントに使われているLEDはお野菜を育てるのに大切な要素。「自分たちも実は、よくわかってないことも多いよね!」ということで、今日はじっくり勉強してみることにしました。三浦所長、前川さん、今日もよろしくお願いします!
すごく基本的なところからの質問ですが、Glineの植物工場プラントに使っているLEDの照明って、普段わたしたちが家庭で使い始めているLED照明と同じようなものなんですか?
そうですね。同じLEDの照明でも、家庭用と植物工場用では、波長も異なるんです。
波長が違う?!
植物工場用の、おいしい野菜を育てるのに最適なものにしてあるんですよ。
なるほど。それって、自然光に近いとか、ですか?
そうですね。GlineがPhilips(フィリップス)のLEDを採用しているのは、世界でもオランダが植物工場で一番進んでいるからなんです。フィリップスの方が値段は高いけど最適だからということで、うちは採用しているんですよ!
フィリップスって、オランダのメーカーですよね?世界で植物工場の先進国っていう認識でいいのですか?
そうですね。
フィリップスの照明は部屋のLED照明とは違って、自然光に近い光照明になっているとのことですが、世の中の植物工場は全部LEDでできているんですか?
元々は蛍光灯でやっていました。製品にもよると思いますが、発熱してしまうのと、電気代が高かったことが課題でした。あと、長持ちしないこともあり、ランニングコストが悪いんですね。初期投資は安いんですけどね。
蛍光灯の時も部屋につけるのとは違う、特別な製品だったのですか?
植物工場用の蛍光灯ですね。
初めて知りました!そこから植物工場用の持ちがいいLEDができて、初期投資はちょっと高いけど、長持ちするということが評価されているんですね。世の中はLEDを採用するところが多くなってきてるんですか?
第1次植物工場ブーム~第2ブームまでは、蛍光灯なので発熱があったり、電気代が高かったりで、レタスひとつとっても製造原価がかなりかかっていたのですが、LEDが飛躍的に良くなって、次の時代に突入しました。第3次植物工場ブームになった今は、当初の3分の2~半額程度で製造できるようになりました。LEDの進化が大きいですね。
熱が出たら室温が上がって植物も熱があたって、エアコン代もかかるし、その分のお金が経費にのってきて高くなっていたんですね。それがLEDになって安く効率よく作れるようになったということですね。
Glineにかぎらず、LEDの色分けというのは各社違うのですか?
そうですね。アジアから輸入されている比較的安価な白色のLEDを使っているところもあれば、まちまちですね。
白色以外もあるっていうことですね?
はい。フィリップスは赤や緑や、赤外線が出るものがあります。
赤、緑以外に赤外線?!光ってるってわかるんですか?
それだけつければ明るいぐらいなんですけど、目では見えないかな。それでも遠赤は野菜を育てる上で大事な要素です。
赤、緑、白以外に遠赤、全部で4種類。4種類全部つけているところもあれば白だけとか。白と遠赤だけというところなどもを組み合わせて、みなさん植物工場を工夫しながら最善の組み合わせを研究しているんですねー!
蛍光灯からLEDに切り替わったタイミングっていつぐらいですか??
うちが導入した時だから5,6年前です!
それまでは蛍光灯が主流だったんですね。
そうですね。青色のLEDもなかったし。青色のLEDができたってことはすごいことですね。青色と赤色で、できる野菜がだいぶん変わってきますよ。
1次・2次ブームによって、植物工場がすごく増えて、ブームが落ちついたあとぐらいにLEDができたんですね。第3次ブームでは、植物工場もう一回やろうというところが増えたんですか?
はい。景気がちょっと良くなると、別事業でやってみようという会社も増えてきます。
なるほど!時代の流れが理解できました。
ここからは、色の違いでできる植物とか、育ち方が違うということについて、もう少し詳しく話を聞きたいなと思います。
フィリップスの製品は、固定で最適な波長を出していて、それぞれの色の強度も決めているんです。けど、今第2工場でGlineが採用しているのは、それぞれの色の強度を100%で調整できるようにしていて、野菜によって強度を変えて最適なところを合わられるよう日本のメーカーとタイアップして作っています。なかなかその答えが出なくって。今もある大学との共同研究から、ヒントをもらって調整してますが、難しい研究です。
第1工場の方ではフィリップスのそれぞれの色のベストの波長で設定していて、第2工場では波長を調整できるようにフィリップスではなく国内メーカーのものを入れて、ベストを探る実験を続けているのですね。
さまざまな可能性があるんでね。いろんな野菜が育てられるということと、栄養価への影響も考えています。光の加減だけで50%以上増えたりとか。実際にある企業が採用している方法では、光の調節だけで5割以上栄養価が高く、かなりビタミンが豊富なレタスができている例もあります。
ある波長の組み合わせだと、ホウレンソウが開いてしまってまっすぐ立たない。葉っぱがちょろっとになったり、茎が無かったり、するんです。強度をはかって、それと同じセッティングでも、会社がちがうLEDを使って、2つの工場で「よーいどん!」で始めたんですけど、同じ種で同じ溶液で育てているのに、一方は育って、もう一方はひょろひょろなんですね。波長とはまた違って、光度、光の強さを測る機械も活用しています。
波長と光の強度の違いとは?強度は明るさですか?
「モル」ですね。体面積辺りに光の束がどれぐらい入っているのかということが強度です。目ではわかりにくいですね。どうしても人間の目は白を明るいと感じるので、第1工場の方が明るく感じるのですが、実際は第2工場も同じくらいの値だったりします。目で捉えるのと測量とでは違う。けっこう思い過ごしもあるんじゃないかな。
たしかに同じようなLEDでも写真にとったときの光の具合が違うことも多いですもんね!
光の研究というのはまだまだやらなければいけないけど、なかなか進まないんです。だから、すでにある光に対応する「種」を探してもらっているのが現状です。
わたしたちがもともと2つの工場をやろうと思ったのはいろんな野菜の生産が光を調整して、実験できる。特に赤色野菜の生産ができるようにしたいなと思っていたのと、生産日数を1日でも2日でも縮めるための実験に取り組みたいと思ったからです。生産日数を2日縮められたら製造原価が5%ダウンできるので、大きな効果です。可能性のある国内メーカーとタイアップして取り組んでいますが、なかなか簡単にはいかないですね。
でも挑戦できる実験場所はあるってことですもんね。要素が多いですもんね。とにかく、「光」がすごく重要なんですね。
そうそう。一緒に研究した大学の教授も「地道に探そうかな、何億通りにもなるから」と。野菜によって変えながら、4色を0から100通りまで調整が可能、と話しています。
コストダウンといえば、先ほど紹介してもらったLEDのコストダウンも進んでいるのですか?
けっこう進んでますよ!当初LEDの寿命は2万5000時間くらいでしたが今は4万時間(約8年ぐらいですね)。フィリップスさんの第3世代の製品では電気代が15%ぐらいカットできる。第2世代と比べると15%なので初期と比べるともっと節約できていると思います。
まとめると、Glineの植物生産は①製造日数を縮める、②栄養価を高くする、③育成できる品種を増やす、を大切にしている、ということですね!
Glineはオランダで最先端を走っている植物工場LEDを使いながらコストもかなり意識しているんですね。
展示会に持っていったら「どこの畑から持ってきたんや?」と驚かれるように、コストだけではなくしっかりとした野菜が生産できることを意識しています。
なみえも大好きな、「シャキシャキとした、しっかりした野菜!」たくさん食べたいですね!この5年ぐらいで育成できる種類などは増えましたか?
最初はグリーンレタス、アイスレタスなどを中心にスタートしました。
そこから始まって今…。けっこう種類ありますよね?
ロメインレタスとルッコラ、ベビーレタス、などなど。メインで7種類ぐらいかな、実験中も入れたら10数種類ぐらい生産しています。生産してみたけれど、コストが合わないというのもあって、そういうのを入れたら実験はいっぱいしています。一番の問題は日数です。そのままコストになるので。プラントの単位面積あたりの収穫できるグラム数も重要なポイントです。
なるほど。面積あたりの量も意識しながらプラントの計画を立てていくことが大事ですね。
いかにお野菜をつくっていく上でLEDの光の調整が重要かということが、わかりました!Glineでは、日々の研究でこのようなノウハウを少しずつ培っていっているんですね。こういった特徴などもシェアしてもらいながら、新たな選択肢として、プラントでお野菜を作っていける人が増えていく未来を一緒に考えていきたいですね!今日はありがとうございました。