こんにちは。四季の旬が大好き!秋のお野菜も楽しんでいる、リクガメのなみえです。研究会もいよいよ第三回目を迎えました。今回は研究会のみんなでさらなる学びを深めに、兵庫県淡路島に出張!まずは、南あわじ市にある、吉備国際大学ー地域創生農学部の先生方におはなしをうかがうことになりました。なみえは今日はお留守番。三浦所長と前川研究員の2人が、たくさんインタビューをしてきました。
こんにちは。私たちは兵庫県の揖保郡太子町という場所で、野菜栽培プラントを開発し、さまざまなお野菜を栽培しています。ぜひ、大学での研究内容や、水耕栽培について、ご意見をお聞きできればと思い、訪問させていただきました。
こんにちは。吉備国際大学 地域創生農学部の許です。今日は実際に4つのハウスや、閉鎖型植物工場を見ていただきながら、ご説明をしていきますね。さっそくハウスに向かいましょう!
こちらの総合的なハウスでは、いちじくを栽培しています。半年で大きくなっており、普通は3年くらいかかるのだけど、ハウスだと1年目から花が咲いて、すでに実がなっています。普段肥料をやらず、水やりのみで成長するので、ハウス栽培にすごく向いています。このハウスの屋根のフィルムは透過率が高いものを使っています。
このぶら下がっている機械は何ですか?
こちらのセンサー(写真左)でハウス内の温度などのデータを収集しています。調整が自動でされて、常に室内の状態をホームページで確認できる優れもの。温度や湿度をグラフで管理しているため、いつでも振り返りや確認できます。このようなカーテン(外)も温度設定によって自動稼働するので、太陽の光の具合などをしっかり調整できるのです。
なるほど。外での栽培と違って、徹底した温度・湿度管理ができるのがハウスの特徴であり、強みですね。あとでデータの振り返りができるのも、適した品種を検討していく上で重要ですね。
次は水耕栽培実験ハウス(写真左)に入ります。ここでは土を使わずにロックウール(写真右)と養液を使って植物を育てています。スポンジみたいに保水性が高くて、養液を入れたら長く持ち、植物に無駄なく提供できる便利なアイテムです。
水耕栽培の養液は循環式になっています。タンクに養液の原液がはいっており、水(地下水)によって希釈されて、EC盤が原液のEC値を調整しています。希釈した養液はタンクにはいり、タイマーにより、養液が植物に流れていきます。循環式して、再度タンクに戻っていく仕組みです。
※EC値とは:培養液にどのくらいの量の肥料が溶けているか、肥料濃度のこと
こちらではいちごを育てているんですか?私たちも育てたことがあるのですが、ななかお花が咲かなくて苦労しました。
苦労されたんですね!いちごについては次のハウスで詳しく説明しますね。次は開発した会社が特許をとっている<クールサットハウス実験ハウス>に向かいます。
クールサットハウス実験ハウスの特徴は何ですか?
特殊なつくりで(特許)、夏場3~5度温度を下げることができるハウスです。簡単に言うと、ハウス外側で蒸発しやすい霧をスプレーのようにしてできた高温冷却空気をハウスの中に引き込んで、生育障害の主な要因になっているハウス内の高温・乾燥状態を解消して、真夏でも植物の生育環境を保つ農業用ハウス装置のことです。
このハウスならいちごは育つのですか?
ここではイチゴ(よつぼしという品種)を栽培しています。このハウスでは、30度台後半でも花は咲きます。ポイントは根っこの温度を下げていることでしょうか。植物の根っこの温度を直接下げるような装置を使っています。
なるほど。根っこがポイントですね!今年は難しかったけれどまた挑戦してみます!!
ぜひチャレンジしてみてください!最後はトマトなどを栽培している養液土耕ハウスに案内します。
こちらが、養液土耕によるトマト栽培です。1列は中玉のシンディースイートという品種、もう一列はいろいろな種類を栽培しています。なんと、ピーマン型のトマトなどもあります(写真中央)。根っこの部分から横にずらして誘引しているので、一定の高さで育てることができています。これは、オランダから学んだ技術です。
このようにチューブがあって、根っこに直接養液を送っています(写真右)。根っこの温度を低くするチューブもあり、季節によって調整しています。
他にもこのハウスで育てている特徴的な植物はありますか?
ソロガム(写真上)を実験的に栽培しています。グルテンを含まないため、穀物として一定の需要が見込めるので、期待されています!ほかにも淡路島原産のキンセンカや、九州の大学の漢方薬の先生が<ミシマサイコ>という品種を栽培しています。漢方は、上は枯れているように見えても、根っこの部分は生きているので不思議ですね。
他ではまだあまり栽培されていないものを、積極的に栽培、成長を検証できるのは貴重な機会ですね。ぜひ、プラント栽培をしている現場もみせていただきたいです。
それでは、閉鎖型植物工場(実験棟)に向かいましょう。
工場内には栽培棚と、育苗棚があります。ここで育苗して、外に移植しています。温度コントロールと栄養管理がしっかりしているので、発芽率が良いのです。LEDの色と品種の組み合わせがちがうと、植物の生育状態も違うので、まだまだ研究の必要がありますね!
今年の3月に卒業した学生がホウレンソウの栽培を試しました。養液栽培にふさわしいかどうか、19もので品種でテストしたところ、ふさわしいもの、ふさわしくないものに分かれました。このようにLEDの光と品種の掛け合わせはこれからたくさん検証して、相性をみつけていく必要がありますね。そのプラントがある場所の、いろいろな条件にも左右されてくると思います。
ぜひ今後も一緒に研究をしていけたらうれしいです。先ほどハウスで教えていただいた、ミシマサイコについても研究の価値がありそうですね。国産漢方は、化粧品業界からも需要があると聞くので、品種の研究をしてみたいです。これからもいろいろとご相談させていただくことがあると思いますが、よろしくお願いします!