第四回研究会は発酵と暮らす田舎一軒家サロンROKKAKU、山下佳世子先生とお話

本日の研究会は、三浦所長ともご縁が深い、<発酵と暮らす田舎一軒家サロンROKKAKU>を主宰されている山下佳世子先生にお話を伺います。
久しぶりになみえも一緒に参加できる研究会で、とってもわくわくしています。
先生は元々、病院で管理栄養士さんをされていたこともあり、今日はいろいろとお野菜の栄養のお話をお聞きできたら、と思います。

こんにちは。今日はよろしくお願いします。先生は生まれ育った土地で、田舎暮らしの楽しさや知恵などを大切にしながら、日本人にとって大切な「食」を学ぶことができるサロンを開かれておられますね!発酵食品や酵素ジュースなどの講座も定期的に開催されていて、日々の活動の様子について、ブログなどをなみえも拝見しています。

こんにちは。発酵と暮らす田舎一軒家サロンROKKAKU の山下です。
今日はみなさんとお話しながら、野菜の栄養、特に<ミネラル>の大切さについて学んでいけたらと思います。

ミネラル、ですね!楽しみです。先生、早速なのですが、野菜の栄養価というのは昔から変わってきていると聞いたことがあるのですが、本当ですか?

昭和30年代と比べると、野菜の栄養価はさまざまな要因で下がってきています。これは国から発行される栄養成分表を見比べていただければ、わかると思います。昔はミネラルやビタミンは意識しなくても摂取できていたのですが、近年では十分な量をとるのが難しくなってきています。

3つの肥料成分「チッ素、リン酸、カリ」が多用されていることもミネラルのバランスに影響しているんでしょうか?

はい。どうしても消費者のみなさんからはきれいで大きな野菜が求められるので、そのために土に農薬や化学肥料が使用されるのですが、その影響で野菜本来の鉄分なども減ってきてしまっています。
かつては、植物は根っこから酸を出し、その根酸が岩を溶かして、水溶性のミネラルを野菜自身が吸い上げていたのですが、様々な影響でそういったミネラルの吸い上げができなくなってきています。

ミネラルって人間の体にとって大切なものなんですね。

はい、とっても大事なんです。わかりやすく言うと‥‥

おうちを建てるときをイメージしてみてください。
・タンパク質・脂質・炭水化物が、<おうちを建てるときの材料>
・食物繊維・ビタミンが<おうちを建てる道具>
・酵素・ミネラルが<いいおうちを建てるときの大工>

というイメージです。いくら良い材料と道具があっても、腕のよい大工がいないとおうちが建たないのです。

なるほど!確かに、大工さんの腕はおうちにとって重要ですよね。

ミネラルというと…お塩も天日干しの海水からとったお塩と、そうでないものは、働きがちがうんですか?

例えば、お塩をとりあげると海水からとった塩や岩塩の方がナトリウムだけでなく、カルシウムやマグネシウムなどの身体に必要なミネラルを含んでいます。ミネラルは健康維持や生命活動にとってとても重要で決して欠かすことのできない存在です。人間にとって絶対に必要な約30種類の必須ミネラルといわれる微量栄養素が不足することが「生活習慣病」の原因と言われています。

なるほど。酵素やミネラルは人間が体を自分で守るためにも必要な要素なのですね!

野菜を通じて安定した栄養がとれればいいのですが、うちのプラントで育てているレタスなどは、栄養価などがまばらになりやすいんです。品種改良の影響もあると思うのですが…

季節や土地によって栄養価は変わるものなので、なかなか理屈通りにはいかないですよね!なので、いろんな土地での栄養価の平均値が現在の国の栄養成分表になっています。種も年々変わっていたり、種苗法も変化していっているので、その条件にあったものの研究がさらに必要になってきていますよね。

今日はいろいろ栄養価についてお話をしましたが、私は生野菜のもっている“気”がすべての土台だとも思っています。この数年で地球、野菜、微生物、などの働きを通じて命に感謝する気持ちが生まれてきています。酵素や発酵などの研究、活動を通じて「もっと酵素や微生物・菌、ミネラルの働きとの会話ができたらいいのにな」と思います。

今日お話をお聞きして、ミネラルの大切さを学びました。アドバイスいただいた水溶性ミネラルをプラントにとり入れて実験してみようと思います!

私から最後にご質問です。今のお仕事をしていて大切に考えておられることは何ですか?

生野菜に多くふくまれている酵素などは、体が欲しがっているものです、が、衛生面の観点から、生野菜をなかなか病院で患者さんに提供できないことが、前職での悩みでした。
自助作用の働きをするミネラルを地球から野菜や水を通じて摂取し、治癒能力を高めることが、人が人らしく生きていけるために必要なのではないか、という考えが今のお仕事につながっています。

そのような想いがあったのですね・・・!
では、私たちは日々の食生活をどのように考えて、日々食事に取り入れていけばよいんでしょうか??

野菜や発酵食品を毎食そえることによって、気持ちがよい食事、と思えることも大切だと思います。まずはそこから始めてもよいのではないでしょうか?
人間らしく生きていくために、家庭の営みの中で、「うるおい・感謝・愛」の気持ちがあふれてくるような体感が大切かと思います。そこを伝えたくて実はサロンで生き物であり、毎日育てていく「サラダのようなぬか漬けや酵素ジュースを中心とした発酵食」を教えてるんです。
栄養だけ取りたかったら、宇宙食とかを食べていればいいけれど、もっとちがうところに私たちが忘れていた大切なものがあるのではないかと思うんです。

なるほど。そういったお話を聞いたあと、シンプルなご飯でも、おいしいと感じることで、栄養の吸収の仕方がちがってくるかもしれないですね。
こういう感謝の気持ちがあふれている食生活がいいなと思いました。

そうですね!戦後から高度成長期を経ての今、食生活を通じて何を大切にしていくかを考え、提案したいと思っています。
今までを否定するのではなく、これからをつくっていけるように。

今までの食生活をつくってきたのも、今までの歴史があるから、ですもんね!

今日は私たちの毎日の食生活の本質を見直すようなきっかけとなる、貴重なお話をありがとうございました。
栄養をしっかり摂取することは、ひとつだけの要素ではなく、いろんな要素が働きあって、体をつくっていくことがよくわかりました。
一つだけうまくいっても、うまくまわらない。先ほどたとえていただいたように、いいおうちを建てるには、材料も道具も大工さんも大切。そういった視点でこれからの未来の農業を考えていければと思います。

山下さんと記念撮影

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